新日本海フェリー「すいせん」乗船記(2004年8月)

8月14日(土)

 1週間の北海道旅行の終わりを締めくくるのは、新日本海フェリー「すいせん」の船旅です。小樽で夕食を食べてフェリーの中で食べる食品を買うと、札樽道と道央道に乗って苫小牧東港へ。この苫小牧東港は、太平洋フェリーや商船三井フェリーが使っている一般的に言う、苫小牧フェリーターミナルとは違う場所にあるので注意が必要です。


苫小牧東港フェリーターミナル
 新日本海フェリーで乗船券を発行してもらうときに必ず、場所が違うから注意!と言われ、場所が書いてある案内書をくれるので、初めての人は必ず目を通した方が良いと思います。またフェリーターミナル周辺にはお店などは皆無なので、フェリーに持ち込む食料などは事前に購入した方が無難です。我が家は小樽でお弁当やおつまみなどをたくさん買い込んで苫小牧東のフェリーターミナルに到着したのは、徒歩客の乗船開始となる22時30分でした。

 これから乗船する「すいせん」はすでに着岸していて、照明に照らされてそのスリムな船体を浮かび上がらせています。この「すいせん」は、1996年に就航した高速船でそれまで30時間近くかかっていた、小樽→敦賀の所要時間を約9時間も短縮した画期的なフェリーなのです。通常のフェリーは20ノット(約時速40km)程度で航行しましすが、この「すいせん」はその1.5倍となる30ノット(約時速60km)近くで航行することができます。そのため他のフェリーよりもスリムに出来ているようです。


すいせんのスリムな船体

空力を考慮している(と思う)ファンネル

 フェリーターミナルに到着すると乗船手続きの必要がありますが、新日本海フェリーを往復利用する場合は、往路のフェリーターミナルで復路の乗船手続きも出来るので、帰りはそのまま乗船することが出来ます。その為苫小牧東港の窓口も閑散としていました。徒歩客の乗船口がある2階に上がるとすでに乗船が始まっていて、乗船口には長い列が出来ていました。ここで家族とは一時お別れとなります。乗船口でチケットの半券を係員に渡し、エスカレーターに乗って乗船する家族を見送り一人クルマへ。


閑散としている苫小牧東港の窓口

2Fの乗船口で家族を見送る

 私が一人クルマに戻る頃、家族3人は3Fの乗船口からタラップを渡って船内へ。今回の航海でも利用するのは往路と同じ1等洋室4人部屋なので、案内所でチェックインをする必要があります。案内所でチケットを見せると部屋の鍵と、部屋の場所を教えてくれます。今回利用する1等4人部屋は案内所と同じ階にあるので、案内所前のロビーの脇にある船室入り口から船室の並ぶ通路に入り、お楽しみの1等4人部屋へ。


タラップを渡り船内へ

「すいせん」の案内所

 「すいせん」の1等洋室も「らいらっく」と同じ、両側に2段ベッドがあってその奥の窓の手前にタタミ2畳ほどの小上がりがある快適な部屋です。もちろん「らいらっく」よりも大きな窓からは海を見渡すことが出来るのです。


1等客室入り口

「すいせん」の1等洋室4人部屋

 家族3人が快適な船室に入った頃、私は一人クルマで乗船を待っていました。徒歩客が乗船開始となった22時半には、乗用車の乗船も開始となっていて、目の前のスロープから順番に乗船していくクルマを見ながら一人でクルマの中での待機は続きます。この時期(お盆などの一般客が多い時期)は、2Fの車両甲板には昇降甲板(リトラクタブルの乗用車専用の車両甲板で、高さ制限が2mそこそことなるかわりに乗用車が2倍積むことが出来るのです。)が出ているので、我が家のようにルーフにカヌーなどを積んでいると2Fに乗せることが出来ず、1Fのトラックやシャシーと同じ車両甲板に入れることもあります。


順番に乗船していく乗用車

2Fの車両甲板内の昇降甲板

 1Fの車両甲板に回されるとシャシーなどの積載終了後の乗船となるので、本当に出航直前にしか乗船できず、今回もそうなると覚悟していたら23時前に2Fの車両甲板への乗船を指示されました。


出口近くにバックで駐車完了
 昇降甲板は左舷側半分だけなので、高さ制限のない右舷側に駐車することになるみたいです。そうなると出口近くにバックで駐車することになるので、敦賀港到着時には早く下船できる事になります。そう思いながらスロープを上がっていくと、予想通り前のクルマもバックで駐車をしている最中でした。僕にとっては2Fの車両甲板の、出口近くにバックで駐車するのが理想だったのですごくラッキーでした。
 ニコニコしながら駐車を完了すると、車両甲板から狭い階段を重い冷蔵庫を持って上がり、案内所で部屋を教えてもらうと、やっとで家族の待つ1等船室へ。部屋に着いてみると、Keikoさんとしおりは大浴場に入って、すでにスッキリとしています。正樹も私を待ちきれずに一人で大浴場に行った後でした。そんな私も正樹の後を追うように大浴場に。大浴場に行ってみるとすごく混雑していて、洗い場を待っている人が数人・・・でもどうしても風呂に入りたいので、洗い場待ちをすること5分くらいで洗い場をゲット。
大浴場前の通路

「すいせん」の売店
 この大浴場に洗い場は6カ所しかなく、ちょっと洗う場所が不足気味と言われても仕方ないでしょう。でもボディーソープやシャンプーなどは完備していて、浴槽からは海が見えるので洗い場さえ確保できればかなり気持ち良く風呂に入ることが出来ると思います。風呂から上がると部屋に戻ってお待ちかねのビールで乾杯が待っています。最初の1本はもちろん「サップロクラシック」ということで売店で購入。

 ビールを買って部屋に戻るとちょうど出航時間の23時50分となり、「すいせん」は汽笛と共にゆっくりと北海道から離れていきます。そんな様子を窓から見ながらちょっと寂しい気分に浸ると、8年目の北海道が楽しい思い出が詰まった素晴らしい旅行となった事を祝してビールで乾杯です。何度飲んでも、フェリーに乗って飲むビールは本当にウマイ!


徐々に小さくなる苫東フェリーターミナル

この一杯が最高〜

ジュースもおいしいね〜
 もちろん子供達もジュースで乾杯。いつもならとっくに寝ている時間ですが今日は特別。12時半頃までみんなで北海道の思い出話に盛り上がり、子供達が寝た後も一人でビールを飲み続けた私が快適なベットに横になったのは出航から1時間が経過した1時頃となっていました。

8月15日(日)


部屋の窓から海面を見る
 昨日の晩寝たのが1時でしたが、ゆっくり寝ている事ができない(完璧なオジサンかも・・・)私が起きたのが7時。窓の外を見ると今日も天気はすごく良さそうです。この「すいせん」の1等4人部屋は、窓の外には通路がなく、下を見ると波を蹴立てて進んでいく様子を見ることが出来るのが、すごく好きなところなんです。あの豪快に進んでいく船の様子を見ているだけでも飽きないかもしれません。

 今日は夜20時15分の敦賀港入港まではフェリーでノンビリです。もちろん朝起きると、部屋に持ってきた冷蔵庫からビールを取り出しプシュ!今日は夏休み最後の日ですが、朝からビールを飲んでご機嫌な一日のスタートです。ビールを飲んでいると正樹も寝ぼけ眼で起きてきました。


朝から飲むビールも最高!

寝ぼけ眼でベットから顔を出した正樹

 朝から複数のビールを飲むと、寝不足気味だったこともって、気持ちの良い睡魔が襲ってきて2回目の睡眠へ入っていく私。この2度寝がまた気持ちいいのです。9時前に二度目の睡眠に入り、次に目覚めたのは「敦賀から苫小牧に向かうすずらんと行き交います。」という10時半頃に入った船内放送でした。ちょうど船の右舷側を「すずらん」が通過するので部屋の窓から見えるはず、と思って見ていると前方から近づいてくる「すずらん」を発見。お互いに高速なので、相対速度は100km以上。そのため見え始めてから目の前を通り、通過していくまではわずか5分もありませんでした。


目の前を通過するすずらん

すぐに見えなくなってしまいました。

 過ぎ去っていく「すずらん」に満足すると、「たしか去年乗った時は11時から案内所前でイベントがあったはず」と思い出し案内所前に行ってみましたが、イベントの案内は貼っていないので残念ながらイベントは無くなってしまったようです。
 案内所前まで出たのでそのまま船内を散策してみました。この「すいせん」は行きの「らいらっく」に比べて定員が少ないので、満員となってもパブリックスペースが空いているのです。今日も案内所前にあるロビーのイスもレストラン横にある、プロムナードのイスも空席が目立っていました。


案内所前のロビー

レストラン前のプロムナード

 レストラン前のプロムナードを通って後部デッキに出ると、ここにはビアガーデンも営業していて、海を見ながらジンギスカンと生ビールを味わうことも出来ます。後部デッキから後ろの海を見ると、真っ青な海に「すいせん」の軌跡が真っ直ぐに残されています。


後部デッキにあるビアガーデン

真っ青な海にまっすぐの軌跡

抜けるような青空と穏やかな日本海
 後部デッキの次は船首にあるフォワードサロンへ。フォワードサロンも「らいらっく」では常に満員状態でしたが、「すいせん」ではそれほどでもないようです。フォワードサロンの窓から前を見ると、抜けるような青空と真っ青な海に向かって進んでいく様子がよく分かります。それにしても今日の日本海は波が穏やかで、ほとんど揺れることもなく、最高の船旅であることは間違いありません。

 フォワードサロンの後は最上階の5階へ行ってみました。このフロアーはスイートルーム、特等の他にビデオシアターがあって一日2回映画を上映しています。ちなみに今日は10時と15時に「アナライズ・ユー」という映画を上映していました。去年まではここで上映していた映画を部屋のテレビでも見ることができましたが、残念ながら今年から部屋のテレビでは見られなくなってしまいました。


5Fにあるビデオシアター

今日の映画はアナライズ・ユーでした。

 船内探検から部屋に戻ると時間はちょうどお昼。お昼ご飯も朝食と同様に、きのう小樽で買ったお弁当やらパンなどを食べてお腹一杯に。去年までは部屋にある電気ポットや給湯室を使って、必ず一食はカップラーメンを作って食べていましたが、あまりにもマンネリ化してきたので今年は廃止(笑)。食後のコーヒーは何気なく持っていった大きなカップと、たまたま冷蔵庫に入ってきた牛乳のおかげでゆったりとコーヒーを味わうことができたので、次回からもこの2品は必需品かもしれません。


役に立った大きなカップと牛乳

部屋にある電気式ポットとテレビデオ
 お昼をゆっくりと食べてノンビリしていると「2時から案内所前でじゃんけん大会を開催するので、参加希望者は案内所前へ」という船内放送が!無くなったと思っていたイベントは午後に変更となっていたのでした。イベントがあるならもちろん家族全員で参加、という事で2時5分前に案内所前に行ってみると、すでに20人くらいの家族連れがイベントの開始を待っていました。
午後2時案内所前に集合

 2時になるとまずは「すいせん」の事務長さんがフェリーに関することを子供達向けにお話してくれました。このお話は大人の私にもすごく興味深いもので、思わず聞き入ってしまいました。


お話をしてくれた事務長さん
 話の内容は、「すいせん」は苫小牧→敦賀948kmを航行するのに、重油をドラム缶750本を使用する。この重油1リットルで進める距離は約5メートル。「すいせん」で使用される飲料水は、港での汲み上げだけでは足らないので、海水をくみ上げて淡水化し、ミネラルを加えておいしい水にして水道の蛇口から出している。フェリーから見えている水平線までの距離は、わずか12kmしかない。
 船員さんの着ている制服に刺繍されている階級を示す線は5本が船長。2本は事務長などと決まっています。さらに肩口にある線の背景には、船の中の職種別に色が分けられているそうです。白は紙を示すという事で事務系の船員。赤は血を示すので医者。他に紫は無線。茶色は油を示すので機関関係などだそうです。このような知識を持ってから船に乗ると、余計に船旅が面白いものになりそうです。お話をしてくれた事務長さん、ありがとうございました。

 タメになるお話を聞いたあとは、お楽しみのジャンケン大会の開始。最初は子供達からスタート。二人一組になっての勝ち抜き戦です。3回くらい勝つと新日本海フェリーオリジナルのグッズがもらえるようです。残念ながら2回戦で敗退したしおりに対して、4回戦かで進出した正樹は見事にペンケースなどをゲット。子供の部が終わると次は大人の部が開始。一番勝った人にはワイングラスがペアでもらえるという言葉に歓声が沸く中スタート。しかし私が1回戦であえなく敗退。Keikoさんも3回戦で敗退し、ゲットしたのは「らいらっく」の絵はがきだけでした。


商品をゲットしたのに浮かない顔だね〜

Keikoさんも絵はがきをゲット

 ジャンケン大会が終わると船長さんの制服を貸してもらっての記念撮影が開始されました。最初は子供達だけというお話でしたが、最後まで見ていたら大人の方もどうぞ、と言って頂いて家族全員が船長さんの制服を着て記念撮影をすることが出来ました。

 イベントが終わり部屋に戻ると時間は3時になろうとしています。部屋のテレビで現在位置を確認すると、左舷側には能登半島が迫ってきています。さらに正面には福井県の越前岬が見えてくるはず。という事でカメラ片手にまずは後方のデッキに行ってみると、いつの間にか石川県の能登半島が近くに迫ってきていました。次にフォワードサロンに行ってみると、目の前に越前岬がクッキリ。


左舷側に迫ってきた能登半島

正面に見えてきた越前岬

 大きく見えてきた越前岬に旅の終わりが、近いことを実感しながら部屋に戻りおやつタイム。朝からほとんど運動もしないで、飲んだり食べたりばっかりしているので、このまま1週間も船旅を続けたら思い切り太ってしまうかもしれません。


地上波も写りはじめたテレビ

口より大きいポテチをパクリ

 部屋でのんびりしていたら早くも時間は4時半に。ここで自宅に帰ってから風呂に入らなくても良いように家族全員で大浴場へ。比較的空いている大浴場で、海を見ながらゆっくりと汗を流して部屋に帰ると、ちょうど夕食のレストランの営業が開始となる時間です。我が家の北海道旅行最後のお楽しみとなる「すいせん」のレストレンでのディナーとなったようです。5時半過ぎに部屋を出て4Fのレストラン入り口へ。


4Fにあるレストラン入り口

明るい雰囲気のレストラン内部

 ステーキ定食など、とっても惹かれるメニューありましたが、Keikoさんは我が家のお勧めメニューであるミニ海鮮丼とサイドメニューを。私と正樹はカツカレー、そしてしおりはエビフライの卵とじを選んで、ほぼ満席となっている中で空席を見つけて着席。「すいせん」特有の振動を感じながら、おいしい料理を堪能しました。もちろん下船間近なのでビールで乾杯!はありません。


カツカレー850円 ちょっとお勧めかな

下船間近なのでビールはナシ!

これから沈もうとする太陽
 お楽しみのディナーが終わると後は下船を待つだけのはずでした。しかし今日はフェリーの右舷側には真っ赤な夕日が水平線に沈もうとしています。敦賀航路は何年も続けて帰りに乗っていますが、今まできれいな夕日にはあまりお目にかかったことはありませんでした。でも今日はかなり期待出来そうです。おまけに部屋が右舷側なので、部屋の窓からゆっくりと夕日を見ることができて最高にラッキーかもしれません。

 部屋に戻るとちょうど良いタイミングで、日本海に沈む夕日ショーは始まりました。水平線に近いところに少し雲はありますが、真っ赤になった太陽光線が部屋の中にまで射し込んできて、なんだか不思議な気分。何も遮るものがなく、さらにゆったりと動いているフェリーから見る夕日は本当に最高としか言いようがないほど。夕日が沈みきるまでうっとりとその様子を眺めていました。


部屋にもきれいな夕日が射し込む

夕日が一番輝いた瞬間でした。

大きく左にカーブしたすいせんの軌跡
 夕日が沈むと時間は7時前に。今までまっすぐに航行していた「すいせん」がここで敦賀湾に向かって大きく左に舵を取ります。「すいせん」の軌跡が大きく左へ曲がると、いよいよ敦賀港入港1時間前となってきました。7時を過ぎると一気に外は暗くなるとともに、旅行の最後を強く意識するようなった私も気分はかなりブルーに・・・

 この頃から荷物の整理を開始し、バタバタを片づけていると7時50分くらいに「車両甲板を開放致しました」との船内アナウンスが。とっても快適だった1等4人部屋を出る時間が来てしまったようです。忘れ物のチェックを入念にし、帰りはとっても軽くなった冷蔵庫や荷物を持って案内所前へ。いつもは車両甲板入り口には長蛇の列が出来ているのに、今日はそれほど並んでいません。


正面に見えてきた敦賀港の灯り

意外と空いていた車両甲板入り口

 車両甲板入り口で船員さんに下船券を、切り取ってもらうと狭い階段を下りて2Fの車両甲板へ。楽しかった船旅もとうとう終わりの時間がやってきました。クルマに到着してしばらくすると、車両入り口のゲートが定刻通りに開き始めました。


チケットの半券を渡して車両甲板へ

定刻に開き始めた車両入り口ゲート

 ゲートが開いたらすぐに下船出来ると思っていたら、左舷側にある昇降甲板のクルマが最初の下船となり、待つこと15分で我が家の順番が回ってきました。車両入り口を通りスロープを駆け下りると1週間ぶりの本州へ上陸です。ここで楽しかった「すいせん」の船旅は素晴らしい思い出と共に終了したのでした。


1週間ぶりに本州へ上陸

敦賀港フェリーターミナル

船旅が終わって。

 我が家が一番のお気に入りである新日本海フェリー「すいせん」。今回の乗船で家族全員での乗船は5回目となりますが、やっぱり大好きなフェリーだと言うことが実感できた船旅でした。深夜の乗船ですが、朝起きると夜8時の下船までノンビリできる感覚はかなり気に入っています。さらに1等4人部屋は、行きに乗った「らいらっく」よりも明らかに窓が大きく、窓の外には通路が無いので、フェリーが波を蹴立てて進んでいく様子を見ることができるのも大好きな要因です。船内イベントもあるし、乗船定員が少ないことによって、満員でも船内がそれほど混雑しない、さらに船員さんの対応も素晴らしい。来年以降も北海道に行けるなら、帰りのフェリーは「すいせん」または「すずらん」になることは間違いでしょう。もちろんチケットが取れれば、の話ですが。

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