第三部

4月29日(火)

 4時半起床のつもりが、「もう5時ですよ」の声で飛び起きました。まだ暗いながらも開聞岳はくっきり見えています。天気は最高に良いようで、今日の登山に期待が膨らみます。

 急いで撤収しながら昨日買ってきたパンを頬ばり、出発の準備が出来たのが6時前でした。昨日の酒が少し残っているようで少し胃がムカムカしていますが、気にせずに登山口に向けてバイクを進ませました。開聞岳は日本百名山の一つであるので、GWともなると朝から登山者で一杯かと思いましたが、予想に反して駐車場には車が十数台止まっているだけです。この駐車場は2合目にあり標高は約150m、山頂の標高は924mあるので約800mの標高差を3kmの距離で登ることとなります。登山口から登り始めたのが6時10分。順調に行けば8時半には山頂に立てるはずです。3合目、4合目と順調に通過し、5合目に出るとやっと展望が開けました。すこし雲がかかって来てしまいましたが、眼下に海が広がり登山しないと見えない景色を見ることができました。

 5合目からも順調なペースで途中で何人もの登山者を追い越しながら、山頂を目指していきます。ただ8合目を過ぎるあたりからガスがかかり始めてしまいました。体も徐々にきつくなってきたようで、8合目から9合目の400mが非常に長く感じられました。9合目を過ぎて少し登ると、最後の急な登りが待っています。そこを登り切ると山頂が待っていました。残念ながらガスがかかってしまい、展望は効きませんが、かなりの達成感です。二人で小さく万歳し登頂を祝福しました。山頂到達時刻はちょうど8時。登頂にかかった時間は1時間50分でした。

 少し待っていればガスが晴れるかも、と思いましたが風が冷たく風邪をひく恐れがあるので早々に下山することとしました。9合目では登りの時には見えなかった展望も見ることが出来ました。下りは1時間半程度で2合目の登山口に到着しました。下から見上げると山頂が晴れているようなので、ちょっと残念・・・複雑な心境です。

 登山口の売店でスポーツドリングを購入し、今登山したことを告げると開聞岳登山証明書を無料で発行してくれました。

 埼玉のライダーさんは今日はゆっくり佐多岬くらいまで行くというのでここでお別れすることにしました。時間は10時前です。この時間に出発すれば、都井岬によることができそうです。最初は指宿スカイラインから九州自動車道に乗って宮崎を目指そうと思っていましたが、都井岬にいくなら鹿児島の鴨池港から垂水港までの垂水フェリーを使った方がよさそうです。フェリーに乗れば休むこともできるので、鹿児島の鴨池港に向けて開聞岳登山口を出発しました。途中の池田湖ではイッシーをカメラに納め、指宿スカイラインに突入です。この道は薩摩半島の尾根上を走る景色の良い道で、ここも一度は走ってみたいところでした。車も少なく路面もきれいで景色も良く、かなり良い気分で走ることができます。ただし高速コーナーの連続なのでスピードが出過ぎないように注意が必要です。

 指宿スカイランの谷山ICから鹿児島市内に降りて鴨池港に着いたのは11時15分でした。次のフェリーは11時半ということで、今回もほとんど待ち時間が無くフェリーに乗船することが出来ました。

 さすがに朝の登山で体には疲労が溜まっているらしく少し体がだるくなっています。フェリーの乗船中の35分間は椅子に座り疲れをとることにしました。椅子でうとうとしているともう垂水港入港のアナウンスです。ここも料金の支払いは料金所みたいな所で払う、桜島フェリーと同じ方法でした。1,010円の料金を支払い、垂水港から都井岬を目指しR220を走り始めました。鹿屋市、志布志町と順調に通過し串間からはR448に入ります。都井岬で遅い昼食を取ろうと、串間市のコンビニで弁当を買い都井岬に着いたのは2時を回った頃となりました。都井岬は入り口の料金所で牧馬保護協力費として2輪車は100円支払います。都井岬には野生の馬がいるので、ここに来た目的は野生の馬を見ることです。昨日の宴会で大阪のライダーが「都井岬で馬を見ないと九州に来た意味がない!」と言っていたので楽しみにしていると、かわいい馬をたくさん見ることができました。近くの馬をカメラに納め、一番奥の都井岬灯台に行ってみるとまさに青い空と青い海素晴らしい景色が迎えてくれました。

 都井岬灯台から、馬のいたところに戻り、馬のいる丘に登ってみると生まれたばかりの子馬が母馬のお乳を飲んでいます。このかわいらしい親子馬を間近で見ることが出来、都井岬に来た目的が達成出来ました。馬の親子を見ているうちに疲労感もどこかに行ってしまったようです。

 都井岬で1時間ほどのんびりし、出発したのは3時を少し回っていました。ここから宮崎までは日南フェニックスロードを走り抜けます。ここも九州に来て走ってみたかった道の一つです。都井から南郷まではR448、南郷から宮崎まではR220がフェニックスロードとなっています。R448は通る車も少なく自分のペースで走ることができ、海沿いのワインディングを気持ちよく走ることが出来ます。海をみると南国の白い砂浜に透き通った青い水で、想像通りの景色です。

 南郷からのR220は交通量も増えて車の後ろを走ることになりますが、ここからはコーナーも少なく海沿いのきれいな国道をのんびり景色を見ながら走ることになります。相変わらず海は青く、天気もいいのでのんびりと日南海岸を走ることが出来、良い感じで九州ツーリングの最後を締めくくることが出来そうです。宮崎まではそのまま良いペースで進み宮崎市内に入ったのが5時過ぎなりました。市内でガソリンを満タンにし、コンビニではフェリーで食べる朝食のパンを買いそろえフェリーターミナルに到着となりました。今日乗船するのは宮崎発大阪かもめフェリーターミナル行きの、マリンエキスプレスの「おおさかエキスプレス」です。

 行きのブルーダイヤモンドに比べるとずいぶん船体が新しい感じするので、期待が持てそうです。乗船開始は6時過ぎで、バイクが乗船したのは6時半頃となりました。明日は確実に雨なので、カッパをすぐに着られる状態にして船内に入り自分の指定されたベッドに行くと、行きに比べて格段にきれいです。ベッド自体も広く感じられ、おまけに電源まで備わっています。すぐに展望風呂に入りに行くとサウナまで完備しすっかりおおさかエキスプレスを気に入ってしまいました。サウナで汗を流しすっきりすると、次はお待ちかねのディナーです。このフェリーはレストランのことをビィッフェと呼んでいますが、バイキングスタイルで1,300円で食べ放題となっています。料金を払い、料理の種類をみると刺身まで揃っていて酒飲みも満足できそうなメニューです。とても悩みましたが、エビチリや刺身、骨付きの鶏などを取って、自動販売機でビールを購入し一人だけですが楽しいディナーとなりました。

 4月30日(水)

 きのうは9時過ぎには寝てしまったので5時過ぎに目が覚めました。夜中にトイレに起きたときにはかなり揺れていたようですが、朝はほとんど揺れてはいません。案内所の前のテレビをみると、大阪はひどい雨と風で傘が役に立たないほど、と言っています。これから300kmも走らなければならないので、気が滅入ってしまいました。昨日買ったパンを食べのんびりしていると定刻より20分早く大阪港に着岸しました。このフェリーは着岸後20分くらいは、車やバイクの輪留めをはずす作業の為に車に戻ることができません。そのため7時10分の到着でしたがバイクに戻ったのは7時半過ぎ、カッパを着てフェリーを出たのは8時頃となりました。外に出てみるとかなり強く降っています。かもめターミナルから阪神高速に乗り、豊中ICから名神高速で一気に音羽蒲郡まで行くつもりです。しかし阪神高速で豊中に行くことができず、結局東大阪JCから近畿道に乗り名神は吹田から乗ることとなってしまいました。それでも阪神高速、近畿道ともに渋滞も無く、料金所のおじさんもとても感じが良いいので、ミスコースはしましたが気持ちよく大阪を後にすることが出来ました。名神をノンストップで走りきり、東名高速の上郷SAで休憩と給油をし、音羽蒲郡ICには11時過ぎには到着。あとは走り慣れたR1で自宅に着いたのは12時頃でした。

 3年ぶりに行ったソロのロングツーリング。行く前は結構不安な気持ちがありましたが、九州での3日間は天気も素晴らしく、行きたいところもほとんど行くことができて、全く思い残すことがない楽しいツーリングとなりました。今まで2年間も放っておいたXJR1200もトラブルも無く走りきってくれて、今まで以上に愛車への愛着が沸いてきています。こんな楽しい思いをしてしまうと、また家族を置き去りにして行きたくなってしまいそうで、それがとても心配です・・・

おわり

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